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小椋 久美子

世界バドミントン2018

2018/08/07

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世界バドミントン2018

今年は中国南京市で開催されました!

 

今大会、男子シングルスで桃田選手が日本男子史上初の金メダル。

そして、女子ダブルスで初出場の松本、永原ペアが41年振りの金メダル。

更に、銀メダル2つ、銅メダル2つの合計6つのメダルを獲得しました。

これは過去最高のメダル数でバドミントン界の歴史を変える快挙です。

 

今大会も現地リポーターとして帯同させて頂きまして、白熱した戦いや、中国の地響きにも似た加油コールで会場を一体化させる独特な応援など、体育館でしか感じられない空気感を十分に味わわせてもらいました。

そして何より金メダルの瞬間や、国歌とともに日の丸があがる表彰式は、目指しても手が届かなかった場所だっただけに興奮しながら最高な景色を見させてもらい感慨深く様々な思いでいっぱいになりました。

アスリートとしてその道しか知らない私が、この最高な空間でお仕事させて頂けるのは、なにものにも代えられない贅沢で幸せな時間です。

 

 

 

会場は、体育館というよりはライブ会場にもなりそうな音響や映像などが充実していました。

また、大きな箱なので総動員数が1万6000人ぐらい入る大きさで決勝は1万2000人ぐらいのお客さんが入っていたみたいです。

この人数の加油コール、、、ご想像できると思いますが会場が飲み込まれるような本当にすごい大声援でした。

日本にとっては完全なアウェー状態。

脅威と思っていた中国応援でしたが、期待を裏切らない凄まじいほどでした。

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帰国してどのテレビを見ても、バドミントンを取り上げて頂けてて本当に嬉しいですね♪

やっぱり、男子で初めて日本にメダルを持ち帰ってくれた桃田選手の報道が多かったですね!!

 

 

現地で取材していても、必ず毎日桃田選手は感謝の言葉を口にしていたんですね。

彼の中で先が見えない時間を経験したことで、周りの方からどれだけ支えてもらえていたのか、また純粋にバドミントンだけに向き合う時間から感じたこともあったんだと思います。

彼がしてしまった出来事は後輩だとしても許されるものではなかったですし、あの処分は妥当だったと今でも思っています。

でも、あの苦しかった時間から這い上がり今の強さがあるというのは、誰にでももう一度立ち上がる権利があって厳しいことから目を背けず頑張っていればチャンスを掴むことが出来るんだと希望を見せてくれたように私は感じました。

 

今大会、桃田選手は腹筋を痛めていて1回戦目からずっと見ていても本来のプレーではなかったです。

決定力がある攻撃的なプレーをする選手でもあるんですが、今回思いっきり打ったスマッシュは限られた数だけでした。

攻撃が出来ない変わりに今回ずっとテーマにあげていた守りが冴え渡っていましたね。

得意のネット周りのプレーでは相手のタイミングをずらしたり、フェイントで意表をついて相手が一歩も動けないノータッチを取ったり。

相手にいい形で打たせない配球が出来ていましたし、逆に誘って打たせる形も上手く作っていました。

そのネットプレーがあったから、しっかりと守りきれたんだと思います。

攻撃的なショットを打てなかった分、足を動かして相手のコートの4隅を使って回す組み立てをして守りに集中していましたね。

 

専門的なことを話せば、決勝で当たった中国の選手は体も強くてスピードもあるし攻撃的プレーヤーなんです。ただスマッシュ以外にもフォア側から打つクロスのカット(右奥からクロスの前に落とすショットです)が、すごく上手く体勢を崩される、もしくは低い位置で取らされることが多いんです。

序盤はもちろん慣れたり癖やパターンを掴むのに時間がかかるので決められたりしましたが、途中からあのクロスのカットを押さえて、ストレートに打つスマッシュも完璧に押さえた時には攻略したな。と思いましたね。

そして、クロススマッシュをレシーブでノータッチを取れた時には、相手選手も勝算があると思わない限り、打ったあとにリスクがある一番遠く走らされるクロスには打つことが出来ないなぁとも思えて、プレーだけではなく精神的にも追い込み何も出来ない状況を作れていたと思います。

それが、スマッシュという武器を一つ捨てて戦っているので本当にすごすぎます。

守りの強さを学んだことで昔よりも更に強くなったように感じました。

これからは他国に研究もされ、更に厳しい戦いになっていくと思います。

もっともっと強くなった桃田選手を見たいですね!!

 

そして、いつもミックスゾーンでのインタビュー終わりに少しだけ素に戻った会話をするんですけど、『疲れました。』と話しているのが印象的で、いつもと違う試合内容だったから試合終わりは常にクタクタになっていましたね!!

最後まで腹筋を痛めていたことは言わず、優勝が決まりホッとしたあとの会話で初めて口にしたときには意志の強さや世界バドミントンへ懸けていた思いの強さをすごく感じました。

 

 

 

今大会、現場で選手の気迫溢れるプレーや精神面がこれほどにも左右される戦いぶりを見ていて、世界バドミントンがどれだけ価値があり獲りたいタイトルなのかが伝わり、オリンピックに次ぐ最高峰の大会なんだと改めて感じました。

 

私の時代は世界を追いかけ、追いつきたい思いで世界を見ていたのに、今は日本が世界を引っ張っていく存在になったんだと証明された大会だったように思います。

 

実力だけでなく、こんな完全アウェーの中勝ち抜いた精神力の強さも本当に素晴らしかったと思います。

 

今は、強い日本を見せてもらえてありがとうと選手たちに伝えたいです。